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2012/10/16 / Rocketman3

「SPACE RACE 宇宙へ – 冷戦と二人の天才 – 」

第二次世界大戦後の冷戦下で有人宇宙飛行への夢を追い続けたふたりの科学者、ヴェルナー・フォン・ブラウン(アメリカ)とセルゲーイ・コロリョフ(ソ連)の物語。映画ではなく英BBC制作のテレビドラマだが、気合の入りかた(と予算)が半端なものではなく、とても見ごたえのある作品。

物語は第二次世界大戦中、ドイツが開発したV2ミサイルからスタート。宇宙開発史は戦争から、ロケットはミサイルから始まったんだな、と改めて気づかされる。このV2ミサイル開発の中心人物がフォン・ブラウンである。

V2の製造工場であるペールミュンデから命懸けで撤退し、アメリカ軍に投降したフォン・ブラウンたち。一方、そこに残されたV2の部品を手に入れたソ連はその技術を自分たちのものにすべく、生産ラインの復元を画策し、その責任者として強制収容所から呼び戻されたのがコロリョフである。ここからふたりの熾烈な宇宙開発レースがスタートする。

 

(以下、ネタバレあり)

第二次大戦が終わり冷戦の時代へ。さらに長距離の弾道兵器としての性能を求められ続け、思うように有人ロケット開発ができないもどかしさ。このあたりは今でもそうかもしれないが、なにごとも自分たちの想いだけでは事が進まない。もちろん予算=カネの問題もある。とくに国家や軍部とのかけ引きも重要というところはとてもスリリング。

ロケットがいかに繊細なパーツの組み合わせでできあがっているかよくわかる。ひとつひとつに専門家がおり、様々な技術とアイディアが形となり、そうした英知と努力が正確無比に結集して初めて、あの巨大な物体が宇宙へと打ち上げられるのである。この途方もないプロジェクトの壮大さ!

 

フォン・ブラウンの存在は米国メディアを通じてコロリョフたちソ連側にも知られていたが、一方のコロリョフはソ連軍部が彼の暗殺を恐れたことから極秘扱いとなり、その存在が世の中に出ることは一切なかった。

冷戦下における両国家の思惑に翻弄されながらも、自らの信念に基づき宇宙開発に取り組み続けたふたりが、直接会いまみえることは最後まで一度もなかった。だが常に互いを意識しあい、相手国よりも先へ先へとリードすることを求められ続けたふたりは、まさに宿命のライバルと言えるだろう。

 

途中でインサートされるロケット打ち上げ実験などの映像がたまらない。ただし、当時の記録映像なのか、CGで新しく作ったものを古く見せているのかわからない箇所も多数あってちょっとやきもき(笑)。

DVD-1では、ソ連のスプートニク1号、2号(雑種犬ライカが初の宇宙飛行)、アメリカのエクスプローラーといった無人の人工衛星打ち上げ成功まで。

 

そしてDVD-2で、いよいよ有人宇宙飛行の時代へ。やっぱりこれだ! これまでにあちこちで観たり読んだりした断片的なシーンも出てきて楽しめる。なんといってもロケット打ち上げの映像!これは当時の記録フィルムだろう。とにかく映像の持つ圧倒的な力強さが違う。

それまでソ連にリードされていたアメリカの宇宙開発において、1961年におこなわれたJ・F・ケネディの演説「1960年代中に人類を月へ」がいかに重要な転換点だったことか。力強さ、強烈なリーダーシップ。

マーキュリー計画、ジェミニ計画、そしてアポロ計画による人類の月面着陸により、子どもの頃からの夢を見事に果たしたフォン・ブラウン。その瞬間、信念が実現した瞬間、どんな気持ちだっただろうか。それに対して、常にアメリカを一歩リードしながらも病に倒れ夢半ばで亡くなったコロリョフの無念。両者の対照的な人生が印象的。そしてドラマはコロリョフの功績であるR-7ロケットとソユーズを称えるコメントで幕を閉じる。

 

軽く酔っていたこともあるが、やはり途中で涙が出てきてしまった。

なんでこんなに宇宙開発史のドラマに惹かれるのだろうか。もちろんそこにはロマンがあるからだ。そして今の時代にはない、開発者たちのドラマがあるからだ。

今だってモノづくりにはそれぞれのドラマがあるし、例えば「はやぶさ」にも心惹かれるものはあった。でも有人宇宙ロケットにしろ、アップル・コンピューターにしろ、それまでにはない「まったく画期的で革新的なものを作り出す」というところに、僕は強く惹かれるのだ(たぶんにノスタルジックな気持ちも含めて)。

 

最後に、有人ロケット開発史を概観できるだけでなく、人間ドラマとしても非常に見応えのある素晴らしい作品なのだが、とくにコロリョフを演じた俳優スティーブ・ニコルソンの顔がとてもいい。「絶対に自分たちが勝つのだ」という静かにみなぎる自信が、その眼から溢れてくるようだ。

 

 

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